コーヒーのネルドリップの淹れ方と手入れのコツを解説｜とろける口あたりに感動！

「ネルドリップって気になるけど、難しそうで手が出せない…」そんなふうに感じていませんか？

布のフィルターを使うネルドリップは、確かに少し手間がかかりますが、一度飲めばやみつきになるほどの“まろやかな口あたり”と“深いコク”が魅力の抽出方法なんです。

この記事では、初心者さんでも安心して始められるネルドリップの淹れ方から、お手入れ方法、豆の選び方までをやさしく解説しています。

読むだけで“とっておきの一杯”に近づけるはず。

自宅で味わう特別なコーヒータイムを、いっしょに始めてみませんか？

ネルドリップの淹れ方と魅力｜とろけるような口当たりにうっとり

「一度飲んだら忘れられない」

そんな風に表現されることも多いネルドリップコーヒー。

その秘密は、とろりとした舌ざわりと深いコク。

紙では味わえない、まろやかで濃厚な風味が魅力です。

「難しそう」「道具の手入れが面倒そう」

そう思われがちですが、実はネルドリップはポイントさえ押さえれば誰でもおいしく淹れられる抽出方法なんですよ。

今回は、そんなネルドリップの特徴と丁寧な淹れ方を解説していきます。

ネルドリップってどんな抽出方法？

ネルドリップとは、「ネル（＝フランネル）」という柔らかい布製のフィルターを使ってコーヒーを淹れる方法です。

ペーパードリップとは異なり、コーヒーオイルをしっかり抽出できるのが最大の特徴。

とろみを感じるような濃厚な味わいで、コーヒー好きの間では“究極の一杯”とも称されることもあります。

ネルドリップで淹れるコーヒーの特徴

コーヒーオイルを活かしたまろやかな風味

紙フィルターはオイルを吸収してしまいますが、ネルは目が粗く、コーヒーオイルをしっかり抽出してくれます。

これにより、甘みとコクが際立つ濃厚な味わいになります。

なめらかな口当たり

ネルの柔らかな繊維が、微細な粉をしっかりキャッチしてくれるので、雑味が少なく、角のない優しい口あたりに。

抽出ムラが少なく、安定した仕上がりに

ネルは柔軟性が高いため、コーヒー粉全体にやさしく密着します。

そのためお湯がムラなく行き渡り、味が安定しやすいのもメリットです。

ネルドリップで必要な器具

• ネルフィルター（フランネル製）
• 専用ハンドル（ネルを固定するための器具）
• コーヒーミル（中挽き用）
• ドリップケトル（注ぎやすい細口タイプがおすすめ）
• コーヒー豆（中煎り～深煎りが好相性）
• デジタルスケール
• サーバーやビーカー、カップ

ネルフィルターの準備方法

ネルフィルターは、新品時と2回目以降で準備が異なります。

セットする際は、

• 縫い目が外側、起毛が内側
• しっかりネルを広げて整える

この状態で、準備完了です。

ネルドリップの淹れ方｜基本のステップ

ネルドリップは、少しの手間で心を満たす特別な一杯に

ネルドリップは、確かに少しだけ手間がかかります。

でもそのぶん、お湯を注ぐ時間さえも“豊かなひととき”に変えてくれる抽出方法です。

ペーパードリップとはまた違った、深くやわらかな味わいを、ぜひご自宅でも体験してみてくださいね。

ネルドリップで淹れた後のお手入れ方法｜美味しさを保つための片付け＆保管のコツ

ネルドリップで淹れたコーヒーの、とろけるような口あたり――

その美味しさを毎回しっかり引き出すためには、ネルフィルターのお手入れがとっても大切です。

「使ったあとはどうすればいいの？」「保管って難しそう…」と思われるかもしれませんが、いくつかのポイントをおさえておけば、ネルフィルターは繰り返し長く使うことができます。

ここでは、ネルドリップの淹れ方に欠かせないお手入れと保管方法について解説しますね。

使用後のネルフィルターはどう片付ける？

ネルを使ったあとは、できるだけすぐに水洗いするのが基本です。

コーヒーの成分が時間とともに酸化して、ニオイや劣化の原因になってしまうため、乾燥させないことが大切です。

すぐに再使用する場合：水に浸して冷蔵庫へ

使用後のネルは、しっかりと水洗いしたあと、水を張った保存容器に浸して、冷蔵庫で保管しましょう。

• 水は1日1回を目安に交換するのが理想です
• 容器は密閉容器やジップロック＋タッパーの二重構造などが清潔に保ちやすいですよ
• ネルがしっかり水に浸かっていることを確認しましょう

※乾燥してしまうと、布に染み込んだコーヒーオイルが酸化し、独特の嫌なニオイの原因になります。

長期間使わないとき：冷凍保存がおすすめ

「1週間以上使わないかも…」というときは、冷凍保存がおすすめです。

• よく洗って水気を軽く絞ったネルを、ジップロックなど密閉できる袋に入れて冷凍庫へ
• 使用前は、常温で自然解凍し、水洗いしてから使用します

冷凍しておけば、カビの心配もなく、風味の劣化も最小限に抑えられます。

抽出スピードが遅くなったときの対処法

「なんだか最近、コーヒーの落ち方が遅いな…」と感じたら、ネルにコーヒーオイルがたまりすぎて目詰まりを起こしているサインかもしれません。

そんなときは、煮沸処理（リフレッシュ）をしてみましょう。

煮ることで、繊維に染み込んだ余分な油分やニオイが取り除かれ、抽出スピードも元に戻ります。

お手入れのまとめ｜ネルは“育てる”感覚で大切に

ネルフィルターは、使い捨てのペーパーフィルターとは違い、繰り返し使えるのが魅力です。

ただしその分、ていねいなお手入れと保管が味を左右する大切なポイントになります。

毎回のちょっとしたお手入れが、

• なめらかな口あたり
• 濃厚で甘みのあるコク

につながっていきます。

ネルドリップは、道具と向き合う時間も味わいの一部。

手間を楽しむ気持ちで、おいしい一杯をぜひご自宅でも育ててみてくださいね。

ネルドリップにおすすめのコーヒー豆と挽き方とは？

ネルドリップで淹れるコーヒーって、特別な豆が必要なの？

そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は特別な種類や高級な豆を用意する必要はありません。

ただし、ネルドリップならではの味の深みやなめらかさを引き出すために、豆の焙煎度や挽き方に少しだけ気を配ってみると、いつものコーヒーがさらに美味しくなりますよ。

基本の挽き方は「中挽き〜中細挽き」でOK

まず基本となるのは、中細挽き〜中挽きくらいの挽き具合。

これはペーパードリップと同じ程度で、ネルドリップ初心者さんにも扱いやすい粒度です。

「ネルドリップは粗挽きじゃないとダメ？」というイメージを持たれることもありますが、じつはそうとも限りません。

豆の焙煎度や淹れ方のスタイルによって、挽き方を自由に調整してOKなんです。

焙煎度別｜ネルドリップに合うコーヒーの選び方と抽出のポイント

焙煎度が深いコーヒー豆（フルシティ〜フレンチローストなど）

深煎りの豆は、水分量が少なく、内部に多くのガスを含んでいるため、抽出時にふんわり膨らみやすい特徴があります。

このタイプの豆でネルドリップをする場合は、以下のような淹れ方がおすすめです。

• 挽き方：粗挽き〜中挽き
• 粉の量：15g〜18gとやや多めに
• 注湯：お湯をゆっくり、点滴のように落とすイメージ

この方法なら、ネルの柔らかさを活かしつつ、コーヒーオイルのコクや甘みがしっかり引き出されます。

また、逆にやや速めにお湯を注ぎ、「おいしいところだけをさっと抽出する」というテクニックも。

濃厚だけど重たくなりすぎない、バランスのとれた味わいが楽しめます。

焙煎度が浅いコーヒー豆（ライト〜ハイローストなど）

浅煎りの豆は、組織がしっかりしていて硬め。ガスの発生量も少ないため、お湯が染み込みにくいという特徴があります。

そのため、こんな工夫がおすすめです。

• 挽き方：やや細め（中細挽き〜細挽き）
• 注湯：お湯を少ししっかりめに注いで、しっかりと蒸らす

接触面を増やすことで、お湯が豆にしっかり入り込み、果実のような酸味や華やかな香りが引き立つ味わいになります。

ネルドリップで浅煎りを楽しむときは、抽出温度（92〜94℃程度）や蒸らしの時間にもこだわってみてくださいね。

ネルドリップは「豆選び」と「淹れ方」のかけ合わせで無限に楽しめる

ネルドリップは、使うコーヒー豆によって味の表情が大きく変わる抽出方法です。

焙煎度	おすすめの挽き方	味の傾向	注湯のポイント
深煎り（フルシティ〜）	粗挽き〜中挽き	コク・甘み・オイル感が強い	ゆっくり丁寧に
浅煎り（ライト〜）	中細挽き〜細挽き	酸味・香りが鮮やか	しっかり蒸らす

「ネルは難しそう…」と感じていた方も、ぜひ今日から自分好みの豆と挽き方で、味の違いを楽しんでみてください。

まるでお茶を淹れるように、時間と気持ちにゆとりを持って淹れるネルドリップの一杯は、きっとあなたのコーヒー時間を特別なものにしてくれるはずです。

ネルドリップの歴史｜200年の時を超えて愛される、やさしい淹れ方

ふんわりとした口あたりと、まろやかなコクが特徴のネルドリップコーヒー。

その魅力は、実は味わいだけではありません。

この抽出方法には、長い歴史と文化が育んできた奥深さがあるんです。

ここでは、コーヒーのネルドリップの淹れ方と歴史を振り返ってみましょう。

ネルドリップの始まりは19世紀のイギリスから

ネルドリップの誕生は、なんと1821年・イギリス。

日本ではまだ江戸時代というから驚きですね。

ペリー来航（1853年）よりも前の時代に、布を使ってコーヒーを抽出するという発想が生まれていたことになります。

この情報は、全日本コーヒー協会の公式サイトにも記されています。

つまり、ネルドリップは200年以上前から世界のどこかで愛され続けてきた伝統的な淹れ方なんですね。

ペーパードリップの登場は20世紀｜実は「メリタさん」が考案者

現在広く使われているペーパードリップが登場したのは、1908年・ドイツ。

発明したのは「メリタ・ベンツ」さんという女性で、今でもコーヒー器具で有名なブランドMelitta（メリタ）社の創業者です。

このペーパードリップの登場によって、簡単かつ衛生的にコーヒーを淹れられるスタイルが広まり、ネルドリップは徐々に喫茶店や家庭から姿を消していくことになります。

昔の喫茶店では「ネルドリップ」が当たり前だった

今では見かける機会が少なくなったネルドリップですが、昭和の喫茶店文化を支えていたのはまさにこの抽出方法でした。

当時は、ネルフィルターも大型で、一度に大量に抽出して温めなおして提供するスタイルが一般的。

ただ、この方法では時間が経つごとに味や香りが損なわれてしまい、「やっぱり淹れたてが一番おいしいよね」という声が多く聞かれるようになります。

1950年代からペーパードリップが主流に

このような背景から、1950年代頃からは、1杯ずつ丁寧に淹れられるペーパードリップが喫茶店でも徐々に主流となっていきます。

ペーパードリップは、

• 後片付けが簡単
• 抽出にムラが少ない
• フィルターが使い捨てできる

といったメリットがあり、ネルに比べて扱いやすさで優位だったのです。

今、再び見直される「ネルドリップの味わい」

ただし、味わいに関しては今も変わらず、

「ネルドリップのほうが美味しい」と感じる方が多いのも事実です。

特に最近では、1杯分から淹れられる小さなネルフィルターも登場し、

「手間はかかるけれど、味わいを優先したい」

「おうち時間を大切にしたい」

という方たちに支持されて、家庭でのネルドリップもじわじわ人気が再燃しています。

ネルドリップは“味の記憶”と“文化”をつなぐ淹れ方

200年の歴史を持ち、今なお愛され続けるネルドリップコーヒー。

一杯の中には、時代を超えて受け継がれてきた知恵と、手間を惜しまない心の豊かさが詰まっています。

ペーパードリップのような手軽さはありませんが、

そのぶんだけ、自分のためだけに淹れる特別な一杯として、深く心に残るコーヒーになるはずです。

ぜひ一度、ネルドリップの歴史と味に触れてみてくださいね。

コーヒーのネルドリップの淹れ方に関するよくある質問（FAQ）

ネルドリップは、コーヒーの旨みや甘みをしっかり引き出せる魅力的な抽出方法ですが、「使い方や手入れに不安がある…」という声もよく聞きます。

ここでは、ネルドリップの淹れ方やお手入れ、豆の選び方など、よくある疑問にまとめてお答えしていきますね。

ネルドリップの疑問が解消できれば、毎日の一杯がもっと楽しくなる

ネルドリップは、手間がかかる分、深い味わいと満足感が得られる特別な淹れ方です。

使い方やお手入れに少しだけ気を配ることで、

あなたのコーヒータイムが、もっと豊かで心地よいものになりますように。

コーヒーのネルドリップの淹れ方 まとめ

• ネルドリップは布製フィルターを使った抽出法で、まろやかでコクのある味わいが楽しめる

• コーヒーオイルをしっかり抽出するため、甘みや深みのある風味が特徴

• ネルは粉にやさしく密着するため、抽出ムラが少なく安定した味に仕上がる

• 基本の器具はネルフィルター・ドリップケトル・中挽きの豆・スケールなど

• 新品のネルは煮沸処理が必要で、使用後は冷蔵または冷凍での保管が推奨される

• 抽出は90℃前後のお湯でゆっくり注ぎ、泡が完全に落ちる前に終えるのがコツ

• 深煎りは粗挽き、浅煎りは細挽きといった豆と挽き方の組み合わせで風味が変化

• 煮沸によるメンテナンスでネルの目詰まりを防ぎ、長く使い続けられる

• ネルドリップは200年以上の歴史を持つ伝統的な抽出法で、今も喫茶文化に息づいている

• 手間をかける分、味わいと満足感が格別で“特別な一杯”に仕上がるのが魅力